時間を気にせず練習できる住宅街の和太鼓スタジオ
お客様データ概要
お客様名 | 和太鼓練習室 島田様 |
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用途 | 和太鼓 |
広さ | 18畳 |
施工エリア | 東京都 |
防音室を作ったきっかけ
浅草でビルの経営管理をなさっている島田様。もともと邦楽が好きで、三味線を習っていたこともあったそうですが、6年前に和太鼓と出会い、すっかり虜に。習っている教室には外部で演奏活動を行うチームもあり、仲間だけでライブを行うまでになりました。ただ、大きな音と振動が出る和太鼓は普通の家ではなかなか練習できず、太鼓の替わりに重ねた新聞紙やタオルケットを叩いたり、大人数の時はレンタルスタジオを借りて練習したりなさっていました。
そんな時、駐車場にしていた土地に自社ビルを建てようという話が出てきました。以前から、もし和太鼓スタジオをつくるとしたら、後から床の段差や天井の高さなどを調整することがないように建物と同時につくった方がいいと考えていらっしゃいましたので、新築ビルの完成に合わせて、地下1階に防音の和太鼓スタジオを作ることを決断なさいました。
お客様の要望
ビルを建設する場所は住宅街で隣家も近いので、とにかく防音性能が最優先でした。特に和太鼓は他の楽器より音が大きく、振動もあり、しかも何台も同時に鳴らすことがあるため、一般的な防音室以上の対策が必要になります。絶対に音漏れがないようにとお願いされました。
また、天井の高さの確保も必要でした。太鼓は、ばちを持った腕を大きく伸ばして打つので、太鼓スタジオには高さが必要でした。
更に、スタジオ内を広く見せたい、自分の振りを見るため壁の一面を鏡張りにしたい、など内装に対しても明確なご希望をお持ちでした。
解決方法
最初に、実際に施工した防音スタジオを見ていただきました。和太鼓ではなく洋楽用のスタジオでしたが、防音のイメージを持っていただけたと思います。
地下1階のスタジオでしたが、和太鼓の固体伝搬音を止めるため、スタジオ全体を建物の躯体から離した浮構造で設計しました。建築と同時の防音工事でしたので、十分な遮音構造を作れるだけの広さや天井の高さを確保することができました。既存の天井から空気層と遮音層で30cm以上天井を下げることになるため、通常であれば床の高さも下げて天井高を確保するのですが、最初に防振対策をした上で床を作ったので、廊下との間に段差を発生させることなく廊下からフラットな床にすることができました。
また、和太鼓の周波数特性を考慮し、壁の入隅は斜めに角度をつけて吸音効果を高める設計を行いました。
天井・床だけでなく壁やドア部分にも厳重な防音対策を施しました。壁も躯体から離して振動を伝えない構造にするのと同時に、音の漏れやすい開口部も徹底的に防音。廊下とスタジオの間に前室を挟み、二重ドアに。さらにスタジオ側のドアは通常の2倍の厚さがある頑丈な防音ドアを採用しました。
床材は、檜のような柔らかい木もよかったのですが、太鼓を移動したりする時に傷がつくリスクを考えて、肌触りがよく傷がつきにくい硬めの木材を選びました。
更に、スタジオ内を広く見せたいので内装は白に、壁掛けの吸音パネルも白に統一しました。
また、壁の一面を全面鏡張りにしたいというご要望がありましたが、反響防止とライブなどイベントの際の使い勝手を考慮して、鏡の前にカーテンをつけ、カーテンを開閉することで対応できるようにしました。
ご成約
様々な角度・視点からご提案をさせていただき、
お客様のご要望通りの性能・プランでのご成約となりました。
実施設計開始
施工開始
施工中の様子
※クリックで画像の全体を表示できます
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壁の入隅の処理方法
和太鼓の周波数特性を考慮し、入隅(明るい部分)を直角でなく斜めに角度をつけて設計しました。こうすることで吸音効果が高まり、未処理の場合と比較して約8倍もの吸音効果が見込まれます。
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内装とドア周りの防音方法
スタジオを広く見せるため、室内を白で統一。廊下とスタジオの間には前室を設け、ドアも二重にすることによって遮音性能を高めました。
竣工時測定報告書(サンプル)
施工担当者からのコメント
建築設計と同時進行で防音工事の設計に取り掛かれたのが大きかったです。防音工事をすることによって、必ず部屋は狭く天井は低くなってしまうので、それらを見越した設計ができることによってお客様のイメージ通りの防音室を作ることができました。
夜も時間を気にせずに練習できていると伺い、安心しました。これからも力強い太鼓の音を響かせてください!