打ち上げ花火の音の大きさはどのくらい?花火の音と形について解説します
8月です!
関東地方も梅雨が明け、いよいよ本格的な夏の到来ですね。
先週末は台風6号の影響で、進路にあたる地域のイベントが中止や延期になったりもしましたが、危ぶまれた隅田川の花火大会は無事に開催され、これから約1か月間、全国各地の花火大会が目白押しになるシーズンです。
夏のすずみは両国の 出船入り船屋形船 上がる龍勢星くだり 玉屋が取り持つ縁かいな
明治時代に、高座の座敷歌として流行した『縁かいな』という俗曲の一節です。
今も昔も、花火大会は夏のデートの定番だったんですね。
国で花火を楽しんでいるうちに、すっかり仲睦まじくなる男女の様子が唄われています。
当時の花火は今のように連続して打ちあがらず、少し間があいていたので、その間に親密度がアップしたことを「玉屋が取り持つ縁」と唄っているのです。
なかなか洒落ていますね。
さてここからは、環境スペースのブログらしく、花火の「音」にクローズアップしてみたいと思います。
打ち上げ花火の音の大きさはどのくらい?
茨城県の花火大会で、打ち上げ地点から700m程度離れた地点で約110dB(デシベル)を計測したというデータがあります。
騒音の大きさは音源から1mの距離で測ることも多いので、この花火の音も、仮に1mの距離だと何dBになるのか計算してみましょう。
打ちあがった高さが300mであれば、破裂点から計測点までの距離は約760m。
ピタゴラスの定理
距離減衰を考慮して計算すると、破裂から1mの地点では約170dBの音が発生していると考えられます。
(公益社団法人 日本騒音制御工学会の記述データを参考にしました)
電車が通るガード下の騒音が約120dB。
人の耳では、10dB上がると音が倍の大きさになったように感じると言われていますので・・・。
・・・とても想像できません(笑)。
花火の「音」の楽しみ方
日本の花火技術は世界一と言われています。
ヨーロッパの花火は、主に中世の貴族がお城の中から楽しむものだったので、正面から綺麗に見えればそれでよかったのですが、日本では、庶民が川辺などの屋外から眺めるものだったので、地上のどこから見ても美しい円に見える必要があり、その技術が磨かれていったと言われています。
なので、イタリアやスペインでは、花火の轟音だけを競うコンテストなども開催されているのに対して、日本では、夜、鮮やかに美しく咲く大玉を目で楽しむことが主流になっていきました。
ところがそんな日本でも、「昼花火」といって、煙に色をつけたり、インパクトのある音を楽しむための花火があるのをご存じでしょうか。
明るい空に浮かぶカラフルな煙を楽しむ花火もありますが、音を楽しむ花火としては「号砲(ごうほう)」「段雷(だんらい)」「万雷(ばんらい)」などがあり、花火の中に仕込む、「雷(らい)」「雷粒(らいつぶ)」と呼ばれる部品の名称に由来しています。
「号砲」は「ドン!」という音が1回、「段雷」は「ドン!ドン!ドン!」と何度か続けて音がします。
雷粒の導火線の長さを変えて時間差で破裂するしくみで、3回なら「三段雷」、5回なら「五段雷」と呼ばれます。
「万雷」も複数の雷粒が仕込まれていますが、はっきりした時間差を作らずほぼ同時に破裂させることで、「ダダダッ」とか「パラパラパラ」といった音が鳴る花火です。
大曲(秋田県)や片貝まつり(新潟県)、長良川(岐阜県)の花火大会などで昼花火が楽しめるそうですよ。
ところで、花火が打ちあがる時に「ヒュ~」という音がしますよね。
あの音は、花火が上空に進む時に空気を切り裂く音、ではなくパイプに火薬をつめた「笛」というものを花火に備え付けて、わざと鳴らしている音なのだそうです。
「ヒュ~」を敢えて鳴らすことで花火への期待感を強め、「ドン!」という破裂音を引き立てるために、意図的に仕掛けているものなんですって。
図らずも音響心理学を応用した、見事な例だったんですね。
この夏、これから花火大会に行かれる方は、花火の「音」にも注目して楽しんでみてはいかがでしょうか。
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