人はなぜ音に対してイライラしてしまうのか? | 防音室・防音工事は環境スペースにお任せ|サウンドゾーン

実は先日の連休中に、某テレビ局情報番組の制作担当の方から、環境スペース宛にお電話をいただいていたんです。
コロナウイルスでステイホーム週間になっていますが、マンションの防音の問合せは増えていますか、という内容。

そうですね。
家にいる時間が長くなっているため、音を出す方も出される方も、間違いなく音に対して敏感になってきていますね。

外に出かけられない分、家で映画を観たりカラオケしたりしてストレス発散させたい方。

学校がずっと休みなので、常に子どもの声や足音が響くのを気にしてしまっている方。

在宅勤務がまだ続きそうだから、少しでも集中できる静かな環境が欲しくなった方、など・・・。

確かに、これまでの「ピアノ練習室が欲しい」「ドラムの演奏できる部屋が欲しい」などとは少し趣の違うお問い合わせも多く寄せられるようになりました。

そんな中、
お隣の騒音に端を発した、大変残念な事件が起こってしまったことは、みなさま報道でご存知だと思います。

ただでさえ、外出自粛や休業要請など、先の見えない生活でストレスも溜まっていたのだと思います。
確かに犯罪は決して許される事ではありませんが、
音でイライラした経験は、誰にでも一度はあるのではないでしょうか。

今日は、そんな音とストレスのお話です。

音の感じ方は脳によって違う

実は、音に絡む殺傷事件は、日本ではしばしば発生するのに対して、西洋ではあまり聞かれないのだそうです。
これには、脳の働きが大きく関わっているらしいことが、ずいぶん昔の論文で発表されています。
(1984年 東京医科歯科大学教授 角田忠信氏「言語脳と音楽脳」より)

脳には「右脳」と「左脳」があることはご存知ですね。
音楽や芸術などをつかさどる「右脳」に対して、「左脳」は言語などの理性的なものを認知する役割があります。

この役割は、日本人も西洋人も違いはないのですが、面白いのが「ハミング」「動物の鳴き声」「感情音(喜怒哀楽の声)」のような、言葉とも声ともつかないような音を、日本人は「左脳(=言語脳)」で受け止め、西洋人は「右脳(=音楽脳)」で受け止めるのだそうです。不思議ですね。

分かりやすく説明すると、例えばお隣の家で飼っている犬がひどく吠えだしたとしましょう。
西洋人はその声を「音」としてBGMのように聞き流すことができるのですが、
日本人は「言葉」のように意味を理解すべくしっかりと聞いてしまう脳の作りになっているのだそうです。
そもそも左脳は、勉強する時など集中力が必要な場面で働く脳です。勉強だけでなく、集中してテレビドラマを見ている時、でもいいでしょう。
左脳が一生懸命に働いています。
そんな時、突然お隣の犬が吠えだしたら・・・?
西洋人は、余裕のある右脳で犬の鳴き声を受容できますが、日本人は一生懸命働いている左脳が、更に犬の鳴き声を受け取って処理しようと、プチパニックを起こしてしまうのだそうです。

これが、受忍限度を超えるイライラの原因になってしまう、というわけなんです。

寝ようとした時に音がうるさく感じるのは……

脳と音の関係から、もうひとつ。

今日も一日働いた。さあ寝よう、という時、なんだか急に周りの音がうるさく感じるようになった経験はありませんか?
これは、アルファ波による影響です。

人間や動物の脳は、常に電気的な信号を発生させています。このうち、8~13Hz(ヘルツ)の成分のことを「アルファ波」と呼んでいます。
アルファ波は、リラックスしている時により多く発生され、アルファ波が増えると聴覚が敏感になるので、周りの音がよく聞こえるようになるのです。
なぜ聴覚が敏感になるかというと、動物にとって「眠る」=無防備な状態なわけで、外敵に襲われたりしないよう、怪しい物音にすぐ気づくことができるためだと言われています。

本日は、音とストレスの関係を脳科学的にご説明してみました。
とは言え、頭ではわかっていても不快な音にイライラしてしまうこと、ありますよね。
それは、逆にみなさまご自身が、周りに迷惑をかけないようにと気を遣うことのできる、優しい方だからこそ。
私はこんなに気を遣って静かにしているのに、どうしてお隣は・・・どうして上の人は・・・イライラ。
どうか、そんな時は、大きく深呼吸してください。
そして、左脳がキャパオーバーにならないように、集中していることがあれば少し手を止めて、ゆったりした音楽でも聴いたりして、ご自分の優しさを褒めてあげてください。

更に、空気清浄機やサーキュレーターを動かしている方は、少しの間、風量を上げてちょっとだけ音をうるさくさせてみるのも良いんですよ。

人間は、予測できないわけのわからない騒音よりも、身近で出どころがわかっている音の方が気にならないという性質を持っているからです。
先日お話したホワイトノイズで音をマスキングする、と同じようなしくみですね。


               

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