【音楽療法は実在するのか?】クラシック音楽を聴かせたお酒と植物から考察
お酒好きの友人から、2ヵ月遅れの誕生日プレゼントでいただいた焼酎が美味しくて、つい夜更かしが続いてしまっている筆者です。
なんでも、クラシック音楽を聴かせて仕込んだお酒だったようです。
「植物にモーツァルトを聴かせるとよく育つ」、「乳牛にクラシックを聴かせると乳の出が良くなる」と聞いたことがあります。
良い音楽は、人間を含め、生き物に良い影響をもたらすことが知られています。
身近なものと音楽との関係について
生き物に音楽を聴かせる効果については、その他にも以下のような報告も聞きます。
- ・パンを作る時に音楽を聴かせたらふっくらと仕上がった
- ・プチトマトの温室で音楽を流したら甘みが増した
胎教(妊婦が精神の安定に努めて、胎児によい影響を与えようとすること)でしたら、お母さんが耳で聴いてリラックスする効果がお腹の赤ちゃんにも伝わるのかも…とも思えます。
しかし、聴覚のない植物や酵母に対して、なぜ音楽を聴かせ(しかも良い効果を得られ)ているのでしょうか。
音楽(音)が鳴る時、必ず空気の振動が発生します。
この振動が、分子レベルでの変化を促進していると考えられています。
ですので、多くの食品・飲料メーカーなどによって、音楽を聴かせた商品の開発が進められているのです。
焼酎の例
私がいただいたのは、奄美大島でつくられた黒糖焼酎です。
他にも鹿児島の蔵元で作られている、音楽仕込みの麦焼酎なども有名です。
音楽仕込みのきっかけは、蔵の中で音楽を流していたところ、スピーカーに近いタンクだけアルコール発酵が早く進むことに気づいた蔵人さん。
試しにスピーカーの位置を変えてみても、またスピーカーに近いタンクだけ発酵が早く進んだのだそうです。
当時の工場長さん曰く、その昔、「富士見酒」といって灘から江戸に船で長く揺られて運ばれた来た酒はおいしい。
だから焼酎に振動を与えることは、きっと熟成に良いのだろうと直感なさったのだとか。
この現象を少しだけ科学的に説明します。
アルコール分子や水分子の集団が振動によって小さく壊れることによって、アルコール分子の周りを水分子が包み込むような状態になります。
その結果、まろやかでアルコールの刺激が少ない焼酎になるのです。
分子レベルで熟成状態に近づくことから、疑似熟成と呼ばれているのだそうです。
日本酒の例
原料と麹・水・酵母を発酵させた「もろみ」の段階で、音楽を聴かせて作っている日本酒もあります。
酵母菌という、生きている微生物に直接作用させる点が興味深いです。
この蔵元では、さまざまなジャンルの音楽を聴かせて違いを検証してみたのだそうです。
モーツァルト、ベートーベン、バッハなどのクラシック、マイルス・デイビスに代表されるジャズ、北島三郎さんの演歌。
それぞれ75~100dB(大音量です)で聴かせてみたところ、クラシックを聴かせた「もろみ」だけに顕著な反応があったのだそうです。
特にモーツァルトを聴かせた酵母は密度が大きく上がり、死滅率が低いという結果に。
そして、まろやかで良質な品質の酒になったそうです。
担当者の見解によると、クラシックは他のジャンルの音楽に比べて音域が広く、使用している楽器・音質が多彩なことから、音楽を振動に変換した際に、酒に与える影響が大きいからなのだそうです。
更には、聴かせた曲ごとに種類の違うお酒も販売されていて、それぞれの酵母がどんな風に育ったのか、いずれ飲み比べてみたいと思いました。
お酒以外にも、効果が出るものは沢山ある
今回はたまたまお酒を例に出しましたが、音楽を聴いて育っている食品たちは他にも沢山あります。
例えば、ざっと調べただけでも沢山あります。
- ・モーツァルトを聴かせたレタス・苺・梅干し・米・鰹節
- ・ベートーベンを聴かせた醤油
- ・ロックを聴かせた味噌汁
それにしても、クラシック(しかもモーツァルト)が圧倒的に多いことにびっくりです。
確かに、「モーツァルトの曲に多く含まれる、3,500~4,500Hz(ヘルツ)の周波数が健康面にも良い効果がある」なんてよく言われています。
音楽療法という分野があるように、私たち生き物は音楽に影響を受け、音楽に癒されて生活しています。
これは決して人間だけに限った話ではなく、他の動植物や目に見えない微生物、ひょっとしたらもっと多くの細胞レベル、分子レベルの「何か」にとっても計り知れない影響を、音楽は与えてくれているのかもしれません。