ゴルフのカップインの”音”は日本だけ?音と高揚感の関係について考察してみた
来週はもう3月。いろいろな想いで春を迎える方も多いでしょう。
やはり春という季節は待ち遠しいものです。
春はスポーツの季節
暖かくなってくると、外で身体を動かしたくなる方も多いのではないでしょうか。
実はこのコロナ禍で、ゴルフを始める方が急増しているようです。
確かに、もともと大声を出すスポーツではありませんし、練習場やコースも密になりにくい環境です。
屋外で飛沫感染のリスクが低いゴルフは、コロナ禍のスポーツとしてちょうど良く、新たに始めた方も多かったようです。
練習場で腕を磨くのも良いですが、やはりコースを回るのは格別で、春は気候も良く、最高のシーズンとなります。
ボールがカップに吸い込まれた時の、何とも言えない高揚感。
己と向き合うスポーツならではの達成感が味わえるというものです。
カップインの”音”は日本だけ
ところで、ボールがカップインすると「カラン!」と心地良い音が響きますが、あの音が鳴るのは日本だけなのをご存知でしたか?
海外の大きな大会がテレビなどでよーく注意して見てみると、カップインしてもあまり音が聞こえてこないのです。
ギャラリーが多くて音がかき消されているから?
いえいえ。特にパットの瞬間は緊張感の高まる場面ですから、ギャラリーも息をのんでいますよね。
ではなぜ?中継マイクの性能とか?
実は、使われているカップの素材が違うからなのです。
海外では一般的に樹脂製のカップが使われていることが多いのに対して、日本では金属製のカップが一般的です。
しかも、「反射板」と呼ばれる、音を反響させる装置を仕込んだステンレス製のものが多いとのこと。
金額も数倍高いのだそうです。
これは明らかに「敢えて」響かせてますよね。
なぜ、わざわざお金をかけてまで高いカップを設置するのでしょうか。
想像してみてください。
静まり返ったコース。
すべての目が、グリーン上の小さなボールを追う。
白いボールがカップに吸い込まれ・・・
「カラン!」
どうでしょう。この「カラン!」があるのとないのとでは、気持ちの高ぶりが違いませんか?
これは決して気のせいなどではありません。
この時、脳内ではドーパミンの分泌が促進されているのです。
ドーパミンはやる気スイッチ?
ドーパミンとは『神経伝達物質の一つで、快く感じる原因となる脳内報酬系の活性化において中心的な役割を果たし』ており、よく「快楽物質」とも呼ばれています。(※『』内は厚労省HPより抜粋)
何やら難しそうな話ですが、簡単な例でご説明すると、
目標を達成した時、楽しいと感じている時、運動している時、感動した時などにドーパミンが分泌され、それによって幸せな気持ちになる。この気持ちをまた味わいたい、と思うことが意欲、モチベーションにも繋がる、というのです。
「やる気スイッチ」的な役割も担っているのですね。
これは、ゴルフの「カラン!」に限ったことではありません。
ゲームをする方なら、クエストやミッションをクリアした時のファンファーレ、
のど自慢大会で合格した時の鐘の音、これらも同じような役割を果たしています。
日本人の感性と音
余談ですが、そもそものカップの発祥は19世紀あたまに遡ります。
世界最古のゴルフ場である、スコットランドのセントアンドリュース。
手を突っ込んでボールを取り出す度に大きくなってしまうカップを保護するために、コースの管理者が水道管をはめてみたのが始まりだと言われています。
問題解決に頭を使ったヨーロッパ人、そこに付加価値を見出した日本人。
何とも、日本人らしい心配りだな、と思わず感心してしまいました。
日本人の感性と音についての話は、こちらでもご紹介しております。よろしければご一読ください。
「お金持ちの密かな楽しみだった?「水琴窟」の音響的魅力について」
環境スペースではこれからも「音」に関するお話をお届けしてまいります。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。