TEMPOLOGY vision Vol.17 「SoundScape より愛をこめて」内容をご紹介 第四弾 | 防音室・防音工事は環境スペースにお任せ|サウンドゾーン

TEMPOLOGY vision Vol.17 「SoundScape より愛をこめて」内容をご紹介 第四弾

(2024/08/01)

UPLINK

第四弾
対談 
「人の五感に影響を与える映画館づくり」

浅井 隆氏(UPLINK)
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嶺島伸治(環境スペース)


2024年6月30日に発行された冊子 一般社団法人テンポロジー未来機構 TEMPOLOGY vision Vol.17 「SoundScape より愛をこめて」。 この特別な一冊に収められた記事を公開中!

第一弾から第三弾は、環境スペースの代表的な音響建築の特集ページをご紹介しました。
今回は第四弾として、弊社が建築設計施工を担当した映画館UPLINKの代表 浅井 隆氏と、弊社代表 嶺島の対談をピックアップ。
人の五感に影響を与えるものづくりについて議論します。
UPLINK

音の風景 というテーマについて教えて下さい

– TEMPOLOGY vision Vol.17 「SoundScape より愛をこめて」抜粋

■嶺島「私どもは、吸音などの技術で、残響音をコントロールして、いわば”音の風景”をつくっていることになっています」

■浅井「東映の試写室って、行かれたことありますか? 僕の知っている限り、空間の遮音性では日本で一番だと思います。残響音が完全に制御されていて、まったくない。映画の音作りの風景というのは、反響音はゼロなんです。すべての音はスピーカーから出す。反響音もスピーカーから出すという考え方です。音楽ホールなどはそうでなくて、残響率を計算し、反射板を付けたりして空間をつくっている」

■嶺島「映画館は吸音材で音を反響させないのがいいとされていますからね」

■浅井「だから、ドルビー・アトモス(という最新の立体音響技術)では天井に音が反響するだろう場所にスピーカーを付けて、音を出すわけです。そうやって音の広がりを感じさせる。残響音がないという前提にして、音をつくるというのが映画館の音です。それでも映画館の吸音率を100%にするのはコストとかいろいろ難しいところもあるので、アップリンクでは上映室に合わせて吸音材に変化をもたせています」

■嶺島「映画館は大体70%くらいでしょうか。ポストプロダクションをするスタジオもそのくらいだと聞いています。一般の映画館は、客席に座る観客の耳から下は吸音材は使っていません。シート自体がかなり吸音しますからね」

■浅井「そう、人が座るとまた違ってくる。人間も吸音するからね」

■嶺島「お客さまが多いときと少ないときではだいぶ変わりますよ。普通の人でもそれはわかるはずです。満席とガラガラの客席では、音の風景も変わるでしょうね」

ー 映画館という空間の演出という部分について、浅井さんにお聞きしたいです。 ー

■浅井「スマホとかで配信映像が見られる時代になって、電車の中で映画見ている方も見かけますよね。そういう時代になったからこそ、非日常の空間でスクリーンに没入できるというのが映画館ならではのことなんです。だからそういう非日常性を演出するのは必要であると感じています。あと映画館はヒエラルキーがない空間なんです。アラブの王様も一般人と同じ椅子で、同一料金で賞するという稀な空間です。TEMPOLOGY Visionの読者は建築・デザイン系の人が多いと聞いてますのでイメージしてもらえると思いますが、僕は、ルイス・バラガンの建築の色使いが好きなんですよ。あの色の力ってすごいでしょう。映画館をつくる時は、あの色の持つ力を活かそうと思っています。吉祥寺ではモロッコの街並みとか、京都では口シアの地下鉄のブラットホームみたいなものを思い浮かべました」

■嶺島「吉祥寺では照明にもこだわられていましたね」

■浅井「照明も大事ですね。色温度とかも重要なのでこだわってやっています。視覚だけでなく、人の五感にどう影響を与えることができるのか、ということを映画館という空間でも考えていきたいです。僕は、空間デザインに関してはアンチミニマル・デザインなんですよ。シンプルな空間設計があまりにもありふれた日常になり過ぎてしまうことに、つまらなさを感じてしまう。もうちょっと人の感覚に影響を与える、人生における楽しい1シーンを提供していきたいと思ってます。音と映像の風景が、街の風景と重なっていくようになればいいなと思います」

「sound scape-音の風景」と言うと、映画館を思い浮かべる
UPLINK
音楽ホールでは、「音の反響」が豊かな空間を作り、一体感や広がり、雰囲気を高めるため、反響の多い設計が好まれます。しかし、映画の効果音は制作時に細かく調整されており、スピーカーからの音が反響すると、制作意図が損なわれることがあります。そのため、映画館の設計では反響音を最小限に抑え、音を忠実に再現することが重要とされています。
とはいえ、立体的な音響設計や規格外の大音量で再生したりするなど、映画館によっても様々な意図や特徴があったりします。
それぞれの上映室の形状や材質、スピーカーの位置や種類によっても、音の聞こえ方が大きく異なります。

UPLINK
今回のTENPOLOGY Vision Vol.17に寄稿された、映画the perfect days制作者の一人 高崎卓馬氏は、「無音」のシーンをシナリオに書いたことがあったそうです。結局不採用になってしまったそうですが、もし実際に上映されていたら、意図する「完全な無音」とは違ってきてしまっただろう、とお話しくださいました。
映画館自体、見に来ている人の動きや、ポップコーンを食べる音、ささやき声などが聞こえてくるので、実際には無音ではないのです。
「無限の闇を経験させるために必要なのは、想像力を刺激してその「無」の状態を想起させる、逆に音や映像なのかもしれない」なんて、面白いことを書かれております。

UPLINK
映画館って、他の席に、人が感じられて、ひとりじゃないですよね。孤独な無音の世界とは違います。
私達が映画館に出向く理由は特有のグルーブ感のため、音楽ライブに行くときにも似た感覚があるのかもしれません。
制作者の意図ももちろん映画の奥深さの一つではありますが、そんなスクリーン室の一体感や、映画館それぞれの個性を、是非楽しんでみてください。
– 環境スペース株式会社 広報担当
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映画館・シアターの防音工事について

【第一弾】TEMPOLOGY vision Vol.17 特集 Felice音楽ホール

【第二弾】TEMPOLOGY vision Vol.17 特集 Ebila Hall

【第三弾】TEMPOLOGY vision Vol.17 特集 TUTTO BUONO

テンポロジー未来機構とは

テンポロジー未来機構は、都市、建築、ファッション、アート、デザイン、テクノロジー、エンタテインメントの各分野を横断的・複眼的に眺め、分析し、課題の抽出にあたってきた創設 25 年になる会員制の異業種交流団体である。2016 年から再開した紙媒体制作で、世の中を横断的・ 複眼的な見方で問題を探り、解決の糸口を見出すべく場の提供を目指している。

Vol, 17 企画内容

Vol.17 では、ストレス多い日々の健やかに過ごすに重要な要素とようやく捉えられるように なった「音・音響・音環境」について丸ごと一冊取り組む。 個人宅のピアノ室からプロユ ースの音楽スタジオ・音楽ホールまで、「音」 の専門家として、『防音・騒音対策』、『残響調整』 を行い、『快適な音場環境づくり』をプランニングする環境スペース(株)の仕事に焦点をあて、 人間が生活する上で欠かせない「SOUND SCAPE―音の風景」を読み解く。

ページ構成
■Cover Story:森田恭通(グラマラス代表) GMOグローバルSTUDIO
■「ドイツ音環境の現状」 服部 圭郎(龍谷大学教授 ベルリン工科大学客員教授)
■「音環境の成熟が示す未来の風景」 嶺島 伸治 (環境スペース株式会社 代表)
■「SOUND SCAPEデザインの可能性」 斉藤 尋己 (Sound Scape デザイナー/アーティスト)
■Session:「音環境の民主化を目指して」 若杉 浩一 (武蔵野美術大学クリエイティブイノベーション学科教授) × 嶺島 伸治 (環境スペース代表)
■TEMPOLOGY Scape:アップリンク吉祥寺 シネマ・チュプキ・タバタ 平塚 千穂子
■Session:「人の五感に影響を与える映画館づくり」 浅井 隆(アップリンク代表) × 嶺島伸治(環境スペース代表)
■寄稿:「映画と音について思う 二、三の事。」 高崎卓馬
■「『聞き入る文化』の創造をめざして 」 上田 渉(株式会社オトバンク 代表取締役社長)
■文化の発信地 IDÉAL TOKYOに見る 音響と空間デザイン:小泉 裕 × 分林 実芳子
■環境スペースプロジェクト
 取材「Felice」 × 環境スペース株式会社 Design&設計 竹田直紀
 取材「TUTTO BUONO」 × 環境スペース株式会社 Design&設計 竹田直紀
 取材「Ebila Hall」 × 環境スペース株式会社 環境計量士 杉山 操・Design&設計 竹田直紀
■Session:「FENDER FLAGSHIP TOKYOとKEF Music Galleryにおける音の工夫」 アストリッド・クライン マーク・ダイサム 久山幸久(KDa) × 嶺島伸治(環境スペース代表)



               
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