ホームシアター・
オーディオルームの防音工事
十分な対策で、快適なホームシアター・オーディオルームを!
シアタールームを作る場合に最も重要なことは、外部施設に迷惑をかけず、快適な空間を実現させることです。近年、専門家に相談せずに設計・建築されたシアタールームで、苦情が多く、後から改修されているところも少なくありません。後からの改修では、コストがかかるだけではなく、十分な対策が出来ない場合もあります。 環境スペースでは、プロ用スタジオ設計の技術と店舗設計のデザイン性を生かし、家庭用リビング兼用のホームシアターから本格的なシアタールームまで、快適な環境をデザインいたします。
ホームシアター・オーディオルームに求められる音響条件
・外に漏れる音、振動が気にならないこと
・外部からの騒音や設備騒音が少なく静かであること
・室内が響きすぎたり音質を悪くする反射音が無いこと
・映像が見やすく、くつろげる空間であること
1. 遮音・防振設計
遮音は、部屋から室外へ漏れていく音と室外から侵入してくる音の両面から考えますが、ホームシアターの場合は室内で出す音が隣接する部屋や隣戸に迷惑にならないようにすることが重要です。部屋の遮音性能は、D値という等級で評価されますが、D値と聞こえ方はおおよそ下記表のような関係になっています。隣室の使用条件により必要な遮音性能は変わりますが、D-60~D-70程度が目標値となります。
遮音等級と聞こえの関係(一般住宅) 「建築物の遮音性能基準と設計指針」
日本建築学会より
オーディオルーム
遮音等級 | D-65 | D-60 | D-55 | D-50 | D-45 | D-40 | D-35 | D-30 | D-25 | D-20 | D-15 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
音の聞こえ方 | 通常では 聞こえない |
ほとんど 聞こえない |
かすかに 聞こえる |
小さく 聞こえる |
かなり 聞こえる |
曲が ハッキリ 分かる |
よく 聞こえる |
大変良く 聞こえる |
うるさい | かなり うるさい |
大変 うるさい |
遮音設計では、直接音だけでなく、壁・床・天井に入射した音が物体内を伝搬し隣室に放射する音(固体伝搬音)があるため遮音・防振構造(浮遮音層)が必要となります。また、サブウーハーの振動を伝搬させないような床の防振構造が必要不可欠となります。
遮音・防震構造構造図
ホームシアターの良い室内環境をつくりだすために、室内の静けさが必要となります。
外部からの騒音及び内部の設備騒音です。
内部の設備騒音の目標は下記に示す表よりNC-25~35程度になります。
また、外部騒音は、建設場所の事前調査が必要となります。
用途別室内騒音の許容値
dBA | 20 | 25 | 30 | 35 | 40 | 45 | 50 | 55 | 60 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
NC~NR | 10-15 | 15-20 | 20-25 | 25-30 | 30-35 | 35-40 | 40-45 | 45-50 | 50-55 |
うるささ | 無音感 |
非常に静か | 特に気に ならない |
騒音を 感じる |
騒音を無視 できない |
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会話・電話への 影響 |
5m離れてささやき声が聞こえる | 10m離れて会話可能電話は支障なし | 普通会話(3m以内)電話は可能 | 大声会話(3m)電話やや困難 | |||||
スタジオ | 無響室 |
アナウンス |
ラジオ |
テレビ |
主調整室 |
一般事務室 | |||
集会・ホール | 音楽堂 |
劇場(中) |
舞台劇場 |
映画館 |
プラネタリウム |
ホールロビー | |||
病院 | 聴力検査室 | 特別病室 |
手術室・病室 |
診療室 |
検査室 |
待合室 | |||
ホテル・住宅 | 書斎 |
寝室・客室 | 宴会場 |
ロビー | |||||
一般事務室 | 重役室 大会議室 |
応接室 |
小会議室 |
一般事務室 |
タイプ 計算機室 |
||||
公共建物 | 公会堂 |
美術館 博物館 |
図書閲覧 | 公会堂 兼体育館 |
屋外スポーツ施設(拡) | ||||
学校・教会 | 音楽教会 |
講堂 礼拝堂 |
研究室 | 普通教室 | 廊下 | ||||
商業建物 | 音楽喫茶店 宝石店 |
書籍店 美術品店 |
銀行 レストラン |
一般商店 食堂 |
2. 室内音響設計
(1)室内の響き(残響時間)
(1)室内の響き(残響時間) 響きは、音に豊かさや暖かみを与えますが、響きすぎると明瞭度が悪くなったり、制作側が意図するものが伝わらないなどの支障があります。 最適残響時間は室容積により変化し、下記計算式により算出されます。平均吸音率で0.3~0.4(30~40%の吸音)程度が目標となります。
V;室容積、S;表面積、α;平均吸音率
また、当社の吊下げ式音響調整パネルKSApanelを使えば、自らお好みの響きに調整できます。
現在、響きすぎて困っている場合や、現状の仕上げをいじらずに音響調整ができます。
(2)音響障害の防止
快適な音空間を実現するためには、“響き”だけではなく、音質を悪くする反射音を無くすことが必要です。
特に、平行する大きな反射面がある場合は、音響障害となりますので対策が必要となります。
■室内の残響調整のポイント
吸音対策をしていない室内で楽器を弾いたり歌を歌ったりすると平行な壁面で”音が何遍も反射する”ことによって起きる耳に不快な音響障害であるフラッターエコー現象が起こります。そのため、使用目的や楽器の種類・特性に応じた適度な響き(残響)があるように設計します。ここに他社とは違う専門的な知識と経験が必要になります。
■平行する大きな反射面の対策
拡散処理(形状変形) | 部屋の形状を変形する拡散体を取り付ける |
---|---|
吸音処理 | 内装仕上げを吸音構造にする吸音パネルを取り付ける |
●残響時間は、部屋の大きさ・室内の容積に比例して長くなります。
●最適な残響時間:室内の平均吸音率は20~30%が目安。
(3)反射面、吸音面の配置
音質の良い部屋をつくるには・・・
▶︎ モニターがPDP、液晶、プロジェクターで
スクリーンの裏にスピーカを置かない場合
スピーカ側前面をしっかりとした反射性にし、後方部分には低音域まで吸音できる吸音層をつくる。
側壁、天井は、音響障害が生じないように、拡散・吸音面とする。
▶︎ スクリーンの裏に
スピーカを設置する場合
スピーカ側前面は、スクリーンと壁間の高音域での反射を少なくするため高音域のみ吸音、低音域はしっかりとした反射性にし、後方部分には低音域まで吸音できる吸音層をつくる。 側壁、天井は、音響障害が生じないように、拡散・吸音面 とする。 スクリーンは必ず透過型スクリーンを使用してください。
*剛壁、吸音、反射の構造・材質により音質が左右されます。設計は環境スペースにお任せください。
3. 内装設計
スクリーン周辺の壁、天井
ホームシアターでは、音響だけでなく、映像の見やすさや質が重要です。良く雑誌に写真が載っているもの見てください。部屋全体がリビングで真っ白の壁、天井のかっこいいものがありますが、これらを設計しているのは、経験の無い業者やかっこばかりの設計事務所です。 壁や天井に映像の光が反射し見にくいのです、雑誌の写真でも注意深く見ると反射して写っていませんか? 映像を見るときは部屋を暗くするから大丈夫だと勘違いしている人が多いのですが、実際は、暗くしても白い壁、天井は、映像の反射光が気になります。 特にホームシアターでは、高さが十分とれず天井ぎりぎりになってしまう場合が多いので、最低でもスクリーン周辺の天井面は反射しない材質で暗い色にしてください。
室内の明るさ
リビング兼用のホームシアターであっても基本的に昼間でも真っ暗にできるような配慮が必要です。光度の高いプロジェクターでも良質の画像を得るには、真っ暗にした時の映像には比べ物になりません。 また、プラズマディスプレーだから大丈夫だと思われがちですが、後方からの光にはかなり弱く、後壁に窓がある場合は、カーテンが閉じっぱなしになったり、天井の照明の映り込みが気になったりします。明るい部屋で楽しみたい方は、プラズマよりサイズが小さく高価ですが、液晶ディスプレーが有利です。
音への配慮
映像機器の騒音 プロジェクターを使用する場合、この冷却ファンの音が非常に気になることがあります。機器によっては、消音ボックスが必要となる場合もあります。プラズマの場合も音、熱に注意が必要です。